愛知県の事業において愛・地球博跡地に、学習交流センター施設の計画があり、その施設の屋上に設置されるベンチのご依頼がありました。
当社には、ベンチの施工実績はありませんでしたが、愛・地球博・瀬戸会場の「愛知県館」の建設に携わった実績もあり、ご依頼については、自信がありました。
愛・地球博で同じようなベンチがあったと聞いています。愛・地球博跡地での計画ですので、万博のイメージ、記憶というものを残す役割を負っているという側面がありました。
具体的に図面を見せていただくと、背板、座板部を30×50の細かな断面をルーバー状に設置し、75角の角を積層したもので支えるという形状で、繊細な意匠性を重視しているベンチという印象でした。
この仕事の手順としては、最初に見せていただいた図面には、細かい納まりなどは記されていなかったため、詳細はこちらで検討し図面を書き、建設会社、設計者に確認してもらうという手順でした。
今回は、意匠性が高いものが求められていると考えたので、金物を出来る限り見せないことで、外観をシンプルにすること、施工後のメンテナンスのしやすさなどの両立を念頭に、細部を考えました。
また、コストの面でも、容易に施工ができるかが重要な検討項目でした。
ポイントは、いかに施工精度をあげて納まりを検討し、決めていくことでした。
図面を書いているときは、コスト、製作・施工時の工程を考えながらの作業でしが、良いものをいかに経済的に作ることができるのかという物作りの面白みがありました。
現場施工段階では、下地の精度がとても重要であったので、別途補強工事をお願い致しました。
その工事によって精度が上がり、仕上りも良く、無事工期内に収めることができました。
今回は、当社の加工・接着技術のノウハウが生かされた現場でした。脚部は、75角の杉の角材を接着剤塗布後、回転プレスで接着し、一体化することにより強度が増し、現場の施工の手間を減らし、またプレス後加工を同工場で行ったので、納期の短縮が図れました。また、当社が一貫して携わることにより、より品質の高い製品が出来きました。